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教科書

こちらは学期の初めで、大学の書籍部には教科書販売所が設置されています。
僕は教科書販売所に行って分野を問わず教科書を見て回るのがとても好きなので今学期ももう4・5回足を運んでいるんですが、いつも思うのはアメリカの教科書は値段がとても高いということです。
もともと教科書用に作られていない本(英文学科某クラス指定のシェイクスピアの作品集とか)はまあ普通の値段なんですが、教科書用に作られている本は100ドル超えは普通で、200ドルを超えるものもざらにあります。物理の身近なところで例を挙げると、Ashcroft&Merminの固体物理の本は教科書として使えるように書かれていますが、amazon.comでも180ドルです。特別に製本が良いわけでもカラーが多用されているわけでもないのにこの値段は高すぎると思う。あと、アメリカの学部で標準的に使われているGriffithsの電磁気の本は127ドルです。(ちなみに砂川さんの理論電磁気学は4410円です。)こういった学部生用の教科書は他の専門書に比べて需要が高いはずで、値段も下げられるはずなのに、この高価格が維持されています。実際には値段は逆転していて、大学院生以上しか買わないような本の方が同程度の分量なら若干安い価格で売られています。たとえば、Altland&SimonsのCondensed Matter Field Theoryは84ドル。Ashcroft&Merminよりも分厚いくらいだけれど値段は半分以下です。Ashcroft&Merminの方がずっと需要はあるはずだけど。これはなぜだろうとたまに考えていたんですが、これらの本は需要が高いからこそ値段を高く設定しても学生は買わざるを得ないからこの価格が維持されているんじゃないかと最近思うようになりました。だとしたら教科書ビジネスはアメリカではなかなかぼろい商売をしているようです。学生から搾り取れるだけ搾り取ってやろうということか。アメリカの教科書ほど分厚い本を出さないということもあるかもしれないけれど、その点では日本の出版業界は良心的な値段設定だと思いました。
by t_oz | 2010-09-15 01:04