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イタリア生活も1年を過ぎました。当初は2年間の契約で来ていたんだけれど、1年延長のオファーをもらったので、ここには計3年住むことになりそうです。2年は短いと思っていたので、これは僥倖。

僕は個人的な面識は全くなかったけれど、某N氏の訃報に接して生と死についていろいろと考えてしまったここ数日です。

前回の更新は3月でしたね。それからもう半年以上経ってしまいました。その間、何があったのか。論文は3本投稿しました。トレントの研究環境ははイリノイよりも僕に合っていると感じます。特に、周りに議論できる相手が多いというのは良いですね。今年の最初に書いた論文で、ついに自分よりも50歳年上の人(Pitaevskii師)と共著を書くことができました。今までの論文は48歳年上と一緒に書いていたので、年齢ギャップをわずかに更新です。今後、これ以上の年の差で論文を書くのは(僕が年下と論文を書く、という状況を除いて)無さそうです。

他には、何があったか?学会・ワークショップでドイツとフランスへ行ってきました。ドイツはマインツ、フランスはLes Houchesです。Les Houchesは3年前にも行ったことがありましたが、ドイツは生まれて初めて。ドイツ料理はソーセージとビールばかりだと聞いていたけれど、まさにその通り、期待を裏切らないドイツです。マインツにはグーテンベルク博物館があって、そこでグーテンベルク聖書の本物を見てきました。帰ってきてから中国人ポスドクに、グーテンベルク博物館に行ってきたと言ったところ、グーテンベルクとは誰だと聞かれたので、活版印刷の発明者だと答えたところ、そんなはずはない、活版印刷は中国人が発明したのだ、と言われました。なるほどその通りです。失礼しました。

夏には、新婚旅行でギリシャへ行ってきました。アテネ・サントリーニ島・クレタ島です。アテネはアクロポリス(パルテノン神殿なんかがあるところ)や考古学博物館などはもちろん、デルフィにも足を伸ばしました。真夏のアクロポリスは酷暑で、午前9時頃にはもう日差しが強くて大変。デルフィは良かった。今では廃墟だけれど、昔はさぞかし豪奢だったのだろうと思わせる遺跡のたたずまいがとても印象的。ギリシャに行く前にヘロドトス『歴史』の最初の数章を読んで行ったところ、そこに書かれていたことが実際にデルフィの出土品などに見られて、歴史の連綿とした流れを感じることが出来ました。サントリーニ島とクレタ島は両方とも島だけれど、前者はバカンス用の小島、後者は普通の都市がある大きな島、という感じで全く雰囲気が違いました。サントリーニ島は綺麗で、美しくて、清々しく、是非もう一度行ってみたい。クレタ島は、目当てはクノッソス宮殿。クノッソス宮殿はエヴァンズ卿の修復による改変が激しく、一体どこまでがオリジナルでどこからが修復なのかわからず一々ガイドさんに聞いて回りました。これなら世界遺産に登録されないのも納得と思いました。一方、クレタ島の考古学博物館はなぜか目当ての品々(ファイストスの円盤・牛頭のリュトンなど)が改装中のため見られなくて残念。まとめ:ギリシャは良かった。いつかもう一度行きたい。今度は是非メテオラにも行ってみたい。

他には何があったか?8月にヴェローナのアレーナ(ローマ時代の円形闘技場)で野外オペラがあったので、見てきました。ヴェルディのナブッコ。野外のオペラは、円形闘技場の立体的な構造もうまく利用していてなかなか迫力がありました。行って良かった。オペラもなかなか楽しいものだ。主役(ナブッコ役)の人が出てきたときに、やけに盛り上がっているなあと思っていたら、後日調べてみたら実はプラシド・ドミンゴが主役だったことを知りました。ドミンゴだったのかあ。いいものを見た気持ちになりました。

主に旅行記みたいになってきました。他には何があったか?7月にはトレントで大きなワークショップがありました。「Summer Programme on Synthetic Gauge Fields for Photons and Atoms」という題で、cold atom及びphotonの系で有効ゲージ場の研究をしている重要な人たちが大勢やってきて賑わっていました。僕も大学院時代の主な研究テーマは有効ゲージ場中でのcold atomだったので大いに関係があります。(有効ゲージ場中でのcold atomの研究は、トレントに来てからも続けているけれど、メインテーマではなくなりつつあります。)久しぶりに元ボスとも会えました。でも、思い返して見ると僕は主にphotonの人たちと話していてcold atomの人たちとはあまり話していなかった気がします。

最近は、cold atomの研究はもちろん続けているけれど、時間の半分位をphoton、あるいはexciton-polariton系の研究に費やしています。トレントに来てcold atom以外のことにも手を伸ばしたいと思っていたところ、隣のオフィスのI氏が光の研究もやってみないかと誘ってくれたので乗ってみたところなかなか楽しくて続けているという状態です。でもまあ要するに固体電子系以外で固体電子系の延長的な多体問題を考えているという点は変わっておらず、単に対象が原子・分子か光子かという違いなので、本質的には違うことをやっている意識はありません。

そんなところでしょうか。ではではみなさん、また今度。
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