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いま、クリスマスの後で新年の前のなんだか中ぶらりんでも居心地の良い日の中にいます。

クリスマスはありがたいことに友人夫婦の家に招いてもらって鶏を食べたりしていました。

デボラ・ブラム『幽霊を捕まえようとした科学者たち』を読み終わりました。分厚い割りに読み進めにくいのでなかなか読み応えがありました。19世紀終わりから20世紀の初めにかけて心霊現象を科学的に研究しようとした人たちの話です。優秀な科学者及び哲学者たちがあの当時本気で心霊現象の有無について科学的に検証しようとしていたことは知らなかったので、驚いたとともに、非常に大きな敬意を感じました。彼らの希望はかなわず現在では彼らの研究の流れは(少なくともメインストリームのサイエンスでは)途絶えてしまっているけれど、一度誰かがやっておくべき仕事だったことは間違いないだろうし、彼らの努力は貴重な挑戦だったと思います。本書に登場する科学者の中ではレイリー卿の立場「いつでも転向する用意はあるが、転向するに足る証拠はいまだに見ていない」が僕には一番共感できました。(でもレイリー卿は確か相対論は信じなかったんですよね。転向するには彼には証拠が足りなかったのかな。)
この本は話題が飛び飛びで流れが感じづらく、残念ながらなかなか読みにくくなっていると感じました。章立てにあまり意味がなく、最初から最後までが一つのチャプターのような印象を与えます。
最後についている解説は僕が本から受けた感覚とはだいぶ違う調子で書かれていて違和感を覚えました。解説は心霊現象を宗教の側に位置づけて科学との対立を強調しているけれど、本を通じて登場人物たちが行おうとしていたのはその真逆で、心霊現象に科学の基盤を与えようとしていたのだと思う。

あさってからしばらくボストンに出かけてきます。主な理由は友人の結婚式。あと、観光も。
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今日はクリスマス・イヴ。洗濯しようと思ったらいきつけのコインランドリーが閉まっていました。さすがクリスマス・イヴ。いきつけでないコインランドリーも閉まっていたので今日の洗濯はギブアップです。明日も閉まっているようだから、あさってまでなんとか持ちこたえなければいけない。

貴志祐介の新作が今年出ていたことにようやく気づきました。と思って調べてみたら2年前に出ていた新作にも気づいていなかったようです。2年も気づいていなかったのか。
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某グループがcold atom中で非可換ゲージ場を作るという実験をやってのけたという噂を数ヶ月前に聞いたんだけれど、一向に論文が現れない。その実験家が某所で講演したときのスライドは持っているので何をやったのかだいたいはわかっているんだけれど、 やはり論文がないことには詳細がどうもわからない。Scienceあたりに投稿したからarXivに論文を載せられないということなんだろうけれども、関連した研究をしている身としてはなるべく早く論文を読んでみたい。出版社としてはプレプリントサーバに論文をあげられると雑誌を購入してもらえなくなるんじゃないかという危惧があるんだろうけれど、一方で読者は早く論文を読みたいわけだから、そこに科学出版の難しさがあるようです。Natureはすでに諦めてしまっていてプレプリントサーバに論文を載せることは黙認しているようだけれど、Scienceはいつまで今の方針を続けられるのだろうか。しかし、インターネット登場以前のアカデミアにはプレプリントサーバなんてなかったんだから、今とはだいぶ研究の環境が違ったんだろうなあ。そういえば、以前はよく図書館でLeggettが大量の学術雑誌を机に広げてにらめっこしている光景が見られました。

僕が先月書いた論文で考えていたようなことを光格子上で考えた論文が昨日出ていました。(僕のは格子がない連続空間上。)光格子上では三体の束縛状態が嫌でも効いてきてしまうので似たような効果はないのかなとナイーブに考えていたんだけれど、彼らは三体の束縛状態を回避するうまいメカニズムを取り込んで考えたようでした。(ところでこのメカニズムは量子ゼノ効果を使う驚くべきもので、3ヶ月くらい前に元のアイデアを初めて知ったときはちょっと信じられなくて納得するまでに一週間くらいかかってしまった。)DMFTと変分モンテカルロを組み合わせたなかなか数値的にハードな論文で、僕のへなちょこMathematica計算とは格が違う。数値計算のテクニックがある人はこういうときにうらやましくなります。まあいいや。格子上でも自由空間上でも良いから誰か早く実験で実現してくれないかな。
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イリノイ大で、雪だるまを轢いたバスの運転手が解雇されたそうです。
雪だるま轢いた運転手を解雇、動画きっかけで判明もネットで支援の動き。
クビにするほどでもないと思うがなあ。
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連日氷点下10℃を下回る寒さで、車のエンジンもかかりにくい。今日、洗濯に行こうと思って車に洗濯物を乗せて発進を試みるも、キーを二度まわしてようやくエンジンがかかる始末だったので急遽予定を変更してバッテリーをためがてら少し遠くまで買い物。

先月投稿していた論文が今日PRAに出版されました。書き終わって考えてみると僕の書いたことはすべて極めて自明なことに思えてきてはたして意味のある論文だったのかと少し考えてしまったけれど、先日ある研究者から僕の論文(arxiv版)は間違っているんじゃないかというメールをもらったので、そう考えてメールを送ってくれる人がいるということは僕の論文にも少しは非自明で意味のあることが書かれていたんじゃないかと思えてなんだか勇気付けられました。メールには返信をしたけれど、その研究者が僕の説明に納得したのかは不明。納得してくれてれば良いなあ。ところで僕の論文を要約すると、三種類のフェルミオンの多体系で、フェルミオン同士に引力的な接触相互作用があるとき低温で超流動に加えて磁性(ある種のフェルミオンが他の種のフェルミオンよりも数が多いというだけの意味)が生じる、ということ。トータルの磁性が保存している系では磁性の発生はドメインの形成として現れる、ということです。
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先週くらいからたまに雪がちらほら降っていたりしたんですが今日は少し本格的に振って外はすっかり雪に覆われてしまいました。シャンペーンはこれからしばらく過ごしにくくなります。

昨日が今学期TAとして受け持っていたクラスの最後の日でした。帰り際に握手してきた生徒がいたのはうれしかった。彼らにとっては期末試験があるからまだ終わりではないんだろうけど。今学期は久しぶりに学部生向けのクラスのTAになったけれど、学生が理解していくプロセスを見るのは楽しいものですね。
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サンクスギビングは結局シャンペーン界隈を出ることなく平和に暮らしました。だらだらと過ごしてしまったけれど、非常に良い休息になりました。

村上隆『芸術起業論』を読みました。なぜか日本人から批判の多い村上隆ですが、僕は彼のアートは非常に好きです。(日本人から批判が多いのは、日本人が彼の名を目にするのは批判記事を通してのことが多いからじゃないだろうかと思う。虚心坦懐に見れば良い作品だと思うんだが。)この本は芸術で成功するにはどうすればいいのかという心構えを書いた本で、芸術以外にも、たとえばおそらく科学にも、通じるところが多いと思いました。文体を受け入れられるかは人それぞれかな。僕には合うか合わないかの瀬戸際の文体でした。

長谷川櫂『決定版 1億人の俳句入門』を読みました。僕は俳句にほとんど興味はないんだけれど、しかし基本的なことは知っておきたいなと思って読み始めたところ、当初の目的にぴったりと合ったちょうど良い本でした。俳句の心構え、俳句に対する考え方が伝わってきました。俳句になぜ季語があるのかは昔から疑問だったんだけれど、この本を読んで納得できました。

広瀬隆『二酸化炭素温暖化説の崩壊』を読みました。著者はFrederick Seitz同様に地球温暖化およびタバコの健康被害を信じないようです。なぜ地球温暖化の否定とタバコの肯定はこう強く結びついているんだろう。(しかし、実は著者が地球温暖化を信じていないのかどうかはこの本からはわからない。一方で地球温暖化など全くのウソだと言いながら、他方で近年の地球温暖化は云々と議論しているから何を言いたいのかよくわからない。いや、言いたいことは一環していて、原子力発電は悪だということらしい。しかしそう結論したいのならこの書名はよくない。)火力発電の効率に関する話とか面白いことは載っているんだけれど、いかんせん著者が原子力=悪の考えに目がくらんでいるため結論に突き進む暴走列車のような様相を呈していてこれではもはやジャーナリズムではない。(いやしかし、もしかしてジャーナリズムとはそもそも結論に突き進む暴走列車なのかもしれない。)この本によると原子力発電の排熱は日本の一級河川の温度を約3℃上昇させる量に相当するらしい。それは、僕が1500キロカロリー摂取すると体温が約20℃上昇してやばい、と言うのと同じように無意味な計算だと思う。まあなんだかいろいろ考えさせられる本でした。
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