だいたい今年あったこと

また実に久しぶりに更新です。前に更新してから一年以上経っていますね。

イタリア生活も2年以上が過ぎました。来た当時の新入り時代とはだいぶ変わって、研究所では古参ポスドク的な位置づけになってきている気がします。今の契約は来年の夏までなんだけれど、さらに3年更新を打診されているので、このまま万年イタリアポスドクとなる勢いです。まあ、こまめに次の仕事を探さなくていいのはとても楽です。

研究のことを書くと、最近はcold atom及び光の系でのトポロジカル・幾何学的な物理の研究をしています。イタリアに来るときにはトポロジカルな物理をやることになるとは思っていなかったけれど、やってみれば結構楽しいものです。

今年は、結構トレントを離れていた時期がありました。

まずは、パリに3週間くらい行っていました。パリ(というかその郊外のMarcoussis)には実験家と共同研究するつもりで行ったんだけど、その実験家がサンプル作成に手間取ってほぼ最終日くらいでようやく実験開始みたいになってあまりお手伝いできず申し訳なかった。まあ、サンプル作成に手間取ったのは向こうなので、僕が申し訳なく思う必要はあまりないんだけど。実験の(理論的)手伝いは出来なかったけれど、別の研究をその人たちと始められたのでよしと思っています。(でもその研究は今はちょっと頓挫中。)その実験家さんには非常に良くしてもらっているので、いつかなんか仕事で恩返しをしたいと思っているけれど、どうなるかなあ。まあ、とにかくパリはフランスパンが美味しかった。

次に、次期東大総長がオーガナイズした研究会に出席するため、日本に3週間くらい行っていました。それとは別に日本で何ヶ所かでセミナーもさせてもらいました。トポロジカル物理の基本的な共通理解を知らずに論文を書いて、それについて話をしたら、いろんな人からその結果はトリビアルだ何が新しいんだと言われて少し自信をなくしました。ヨーロッパで話をするととってもうけがいいんだけどね。日本の物理の世界はシビアです。まあ、でも、第一稿は確かに僕らの書き方が悪かった。出版されたバージョンは日本でのシビアなコメントを取り入れているので、だいぶ良くなったと思う。この論文は、しかし、非常に評価のわかれる論文のようで、レフェリーの一人は、この論文は非常に画期的で後に続く論文が次々と出てくるだろう(大意)、と言ってくれた一方、他のレフェリーには、この論文には新しい結果が皆無でこの論文が科学雑誌に載るとは考えられない(大意)、と言われたりしました。論文の受け取り方は人それぞれで面白いです。

あとは、イギリスにも2週間くらい行っていました。これは、半分仕事、半分休暇です。仕事で、初ケンブリッジ。応用数学の学会に行ってきました。行ってすぐに僕は場違いだということに気づきました。なんと言っても、参加者は応用数学者、考えている問題は一見物理の装いなんだけれど、モチベーションが完全に数学で、問題設定あるいは結果の物理的な面白さはほとんど気にしていないようだったのが新鮮でした。なぜある形のハミルトニアンを考えるのか、と質問したら、「こういうハミルトニアンを考えている物理学者がいるから」と答えられたのが何度かあって物理学者としてとても考えさせられました。ある発表では、相互作用が(ある単位で)1000って言っていてなんだか適当な感じだったから、「その強さは物理的に適切なんですか」って聞こうかと思ったけれどたぶん場違いな質問なのでやめた。おそらく発表者も僕以外の聴衆もその相互作用が物理的に適切かなんて気にしていない。とても不思議で楽しい学会。僕がPhDを通してやってきたスピン・軌道相互作用のあるBECの研究について発表している人が何人か居たんだけれど、僕はその人たちの研究を全く知らなかったのが衝撃的だった。PRAとかPRLとかに論文が出ているようだったので僕が知ってても全くおかしくないんだけど。他方で、僕の研究のことはその人たちには知られていないようでした。同じ研究対象で同じような雑誌に論文が載っていても相互にほとんど交流のない研究者の集団があるのだと知りました。しかし、この学会に出て以来、向こう側の人たちの論文にも気を配るようになって、それは悪いことではないと思っています。

他にも、南イタリア、サレルノ市の隣にあるVietri sul Mareという街のサマースクールにも参加してきました。10月だからむしろオータムスクールかな。スクールなので、参加者はほとんどが大学院生。ポスドクは僕を含めて2人しかいなかったです。でも、テーマはトポロジカル絶縁体で、僕のこの分野の知識は素人並みだったので、大いに学ぶところがあって良かった。というか、いろいろ面白いことが学べて非常に感動しました。休みの日曜にはポンペイに行ってきました。そう、ポンペイに近い街なのです。でも、日曜にポンペイからの帰りのバスのチケットの売店を見つけるのは至難の業でした。うろうろ歩き回って結局バス停から2kmくらい離れた場所でバスのチケットを買うことに成功。今度行く時は、前もってバスのチケットを用意して行こうと思いました。

まだ今年が終わったわけではないけれど、まあそんな感じの一年でした。
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by t_oz | 2014-12-01 07:05 | Comments(0)